棕櫚箒の製造工程|棕櫚箒ができるまで

どのように「棕櫚箒」が出来上がっていくのか、製法をご紹介します。
まずは棕櫚鬼毛箒(タイシ箒)の製法をご紹介します。順次、本鬼毛箒・皮箒の製造工程も掲載する予定です。

(注:このページの画像はブログ「箒師のしごと」からの引用のため、画像ごとに撮影日が異なります。また、一連の製造工程の記事の中で11玉・9玉・7玉など玉数の異なる棕櫚箒の画像が混在しています。製造工程のあらましをご紹介するために、このような記事になりました。未撮影の工程を撮影後、順次画像を更新する予定です。ご了承ください。)
 

棕櫚鬼毛箒(タイシ箒)の製法

1. 棕櫚繊維の初期整形と選別

棕櫚繊維(=タイシ。入荷したままの、選別する前の棕櫚繊維)束を水で濡らし、少量ずつ毛捌き機(下画像参照。鉄針製の櫛が回転する専用の機械→静止時の機械の画像はブログ参照)に通し、繊維を真っ直ぐに伸ばし整えると共に短い繊維や棕櫚粉など汚れを取り除く。その棕櫚繊維を質・長さ等により選別し、既定寸法に切断し自然乾燥させる。
毛捌き機による毛ごしらえ
毛捌き機による毛ごしらえ(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛の毛ごしらえ」2017/1/10

パン切りで裁断
パン切りで既定寸法に切断(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「棕櫚を裁断する刃物"パン切り"」2017/1/19

棕櫚繊維を裁断後に自然乾燥
切断した棕櫚繊維の自然乾燥(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「棕櫚繊維の毛ごしらえ」2017/7/5
 

2. 柄の製作

箒の持ち手となる黒竹や桧などを規定寸法に切り、先端に貫通した穴をあける。この穴は後の工程5の際に、3で作ったコウガイ(竹串)を通すための穴。黒竹の余分な節などは削る。
柄の製作
柄の製作(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「黒竹柄を切り穴をあける」2017/7/23
 

3. コウガイ(竹串)の製作

冬季に伐採し自然乾燥させた孟宗竹を既定寸法に切り、鉈で割り小刀で削って火で炙り竹串を作る。
コウガイ用の孟宗竹を伐採
冬季にコウガイ用の孟宗竹を伐採(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「棕櫚箒のコウガイ用の竹を切り出す」2017/1/6

コウガイ(竹串)の製作
コウガイ(竹串)の製作(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「黒竹の選別と下準備・コウガイ削り」2017/5/17
 

4. 玉の製作

1の棕櫚繊維を適量重ね、芯に棕櫚繊維と少量の糯藁(もちわら)を入れ、銅線や糸で硬く巻き締めて小さい棕櫚の束(玉)を作る。玉の製作数は箒の種類(幅)によって異なり、棕櫚長柄箒中央の柄(持ち手)を付けた棕櫚玉を入れると、11玉長柄箒の場合は玉が11本、9玉長柄箒の場合は玉が9本、7玉長柄箒の場合は玉が7本必要になる。
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り/短い棕櫚繊維を取り除く(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)7玉長柄箒作り」2017/7/3

鬼毛箒(タイシ箒)玉作り
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り/棕櫚繊維を適量重ねる(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)11玉長柄箒作り」2017/8/3

鬼毛箒(タイシ箒)玉作り
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り/芯に棕櫚繊維と少量の糯藁を入れ、銅線や糸で硬く縛る(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)11玉長柄箒作り」2017/8/3

鬼毛箒(タイシ箒)玉作り
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り/棕櫚箒1本分の玉を作る(→画像引用元: ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)9玉長柄箒作り」2017/8/2

鬼毛箒(タイシ箒)玉作り
鬼毛箒(タイシ箒)玉作り/各玉に「足巻き」をする(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)長柄箒作り」2017/6/27
 

5. 玉と柄を合わせる

バラバラに製作した玉と柄を棕櫚箒の形に組み合わせる。4で製作した2の柄(持ち手)を付けた棕櫚の玉先端の穴に、3のコウガイ(竹串)を通し、そこに4の玉を順番に左右同数ずつ通し固定する。最後に左右に余分に出ているコウガイを切り落とし、丸鋲や釘で補強する。
鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる
鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる/玉と柄を棕櫚箒の形に組み合わせる(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛箒(タイシ箒)を合わせる」2017/4/17

鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる
鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる/玉と柄を棕櫚箒の形に組み合わせる(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)11玉長柄箒作り」2017/8/4

鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる
鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる/玉と柄を棕櫚箒の形に組み合わせる(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「引き続き鬼毛箒(タイシ箒)9玉長柄箒を作る」2017/2/4

鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる
鬼毛箒(タイシ箒)の玉と柄を合わせる/余分なコウガイを切り落とす(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)11玉長柄箒を合わせる」2017/6/6
 

6.箒の穂(棕櫚繊維)の整形

5の箒先端部を水に浸した後、さらに全体を霧吹きで湿らせ、毛捌き機または鉄製の熊手を使い、棕櫚繊維を梳かし整え、本鬼毛製の仕上げブラシで磨き、箒先端を切り揃え、自然乾燥させる。
鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/熊手をかける
鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/熊手をかける(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)長柄箒の仕上げ工程」2017/8/12) 

鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/箒を磨く
鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/本鬼毛製の仕上げブラシで箒を磨く(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)長柄箒の仕上げ工程」2017/8/12) 

鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/穂先を切り揃える
鬼毛箒(タイシ箒)仕上げ工程/穂先を切り揃える(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「鬼毛(タイシ)長柄箒の仕上げ工程」2017/8/12) 
 

7. 仕上げ

乾燥した6から抜け毛や棕櫚粉など繊維クズを除去し、棕櫚繊維の毛羽があれば焼き切る。棕櫚繊維表面を霧吹きで湿らせ、再度、本鬼毛製の仕上げブラシで繊維を整え、箒先端を切り揃える。柄の先端に吊紐を取り付ける。
鬼毛箒(タイシ箒)の毛羽を焼き切る
鬼毛箒(タイシ箒)の仕上げ/毛羽を焼き切る(→画像引用元:ブログ箒師のしごと「棕櫚繊維の毛羽立ちを焼き切る」2017/4/16


参考資料:平成16年(2004年)和歌山県郷土伝統工芸品指定時の「製造工程図」、
プレミア和歌山認定時の提出資料(いずれも桑添勇雄商店)など

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